コメント全文はこちら
馬渕 磨理子 様
経済アナリスト
認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
公共政策修士
一般社団法人 日本金融経済研究所 代表理事
京都大学公共政策大学院 修士課程を修了。トレーダーとして法人の資産運用を担う。その後、フィスコのアナリスト、FUNDINNOで日本初のECFアナリストとして政策提言に関わる。フジテレビ、日経CNBC、プレジデント、ダイヤモンド、Forbes JAPAN、SPA!などで活動。フジテレビLiveNEWSαレギュラー出演、Yahoo!ニュース公式コメンテーター、ラジオ日経レギュラー番組、プレジデントオンラインの執筆記事は2020年の半年間で累計6000万PVを超え「日本一バズるアナリスト」と言われる。書籍『5万円からでも始められる! 黒字転換2倍株で勝つ投資術』 『株・投資ギガトレンド10』。
コメント全文
▼コロナ禍における消費の動向、経済の影響について
インタビュアー
・新型コロナウイルス感染症の影響により、BtoC事業者はどのような影響を受け、どんな課題を抱えているのでしょうか?
馬渕 磨理子
小売業、飲食店、旅行会社などで消費者と接点を持つことが困難になり、ネットでの接点を持たない企業は苦境に立たされました。そのなかでも特に打撃を受けたのは、集客することで利益を得る事業、サービスの業種などです。倒産リスクを抱える企業も増え、有利子負債は増加しました。月商に対し、有利子負債(借入金など)が何倍にあたるのかを示す有利子負債月商倍率は3倍が通常ですが、ホテルや旅館などは30倍に上るケースもあり、危機的状況と言えるでしょう。倒産件数は続化給付金などもあり抑えられていますが、売上高の減少と負債の増加で、最悪の場合倒産に至る可能性のある企業も少なくありません。総合的に見て、どの企業でも財務的に厳しい状況がこの2年続いたと言えるでしょう。
インタビュアー
・アフターコロナを見据え、BtoC事業者はどういった戦略、施策で経営を行っていくべきなのか、ご意見をいただけますでしょうか。
馬渕 磨理子
オンライン上で消費者とつながることが求められます。Eコマースはもちろんリアル店舗の情報をネットに出し来店を促す施策が必要になってきました。昨年末にはワクチン接種が進み感染者が激減したことで経済再開に期待が高まり、リアル店舗にも足が向くようになったからです。
新型コロナウイルス感染症感染症の影響で行動が規制され、消費は大きく落ち込みました。家計に貯めこまれた貯蓄は、30兆円に迫る規模と見られています。家計の金融資産も2000兆円目前と言われています。つまり、この2年は我慢して我慢してきた消費者がその欲求を解放する先を求めているのです。消費をしたいマインドは眠っていると言えるでしょう。
事業者としては、自社で売れるようにますますファンづくり、リピーターづくりが必要になってくるでしょう。そのため、インターネット広告の有効な活用にも目を向けることが重要です。2020年度のインターネット広告市場は7.4%増の約2.1兆円、2021年度には2.4兆円、2024年度には約3.3兆円近くまで拡大することが予測されています(※矢野経済研究所発表のインターネット広告市場に関する調査)。
インタビュアー
・ECサイト等、インターネットを利用した買い物が一般的になっていますが、コロナ前後で消費動向にどのような変化があったのでしょうか?
馬渕 磨理子
まず、新型コロナウイルス感染症の拡大により、非接触型決済が可能なインターネットを利用した買い物が増加しました。「宅配クライシス」と言われるほど、宅配物量も増加しました。
経済産業省が2021年7月に公表した「令和2年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2020年における国内のEC市場(物販系分野)は伸長率21.71%増の12兆2,333億円でした。
とはいえ、伸びたのは物販系分野(食品・書籍・化粧品・生活雑貨・家具・インテリア・衣類・自動車)でサービス分野は伸びていません。しかし、今後伸びる可能性は高いと考えられます。
サービス系分野(旅行、飲食、チケット)の市場規模は4兆5,832億円で、伸長率はマイナス36.05%、デジタル系分野(オンラインゲーム、有料動画配信、有料音楽配信)の市場規模は2兆4,614億円で、伸長率14.90%というデータも出ています。
出典:https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html
▼なうモールの印象について
インタビュアー
・サービス概要やコンセプトをご覧いただき、率直なご感想をお願いいたします。
馬渕 磨理子
目のつけどころが面白いというか、こういうサービスはなかったですね。告知したい時に「無料」、さらに1クリック「10円」はリーズナブルだと思います。宣伝ではなく「情報」を届けるという目的としてもアリなのではないでしょうか。
Tver(ティーバー)やHulu(フール―)みたいに定刻に見られなくても、ユーザーの都合の良い時にいつでもキャンペーン・セール情報・各種イベントの最新広告を視聴できるサービスがあればいいのに……と、消費者は思っているはずなので、そうした願望に“刺さる”なうモールはある意味革新的だと思います。
自分が利用しているスマホアプリの情報以外にも、「今だけのお得な自分の欲しい最新情報」があることは誰もが知っているので、そこにリーチするサービスだと思いましたね。
インタビュアー
・ビジネスフローや仕組みについてユニークだと思った点があれば教えていただけますか。
馬渕 磨理子
ある意味、消費者が能動的に情報を取りに行くというところが新しいですね。グルメサイトと異なり、「常に旬の情報、生きた情報を取り扱っている」点がユニークだと思いました。
他のポイントとしては
・宣伝ではなく「情報」を届ける
・「成果報酬」効率的な広告
・自社が属している「ジャンル」が盛り上がることで「便乗」できる
・自社サイトへの流入が、今もっともダメージを受けているであろうBtoC企業の力に本気でなりたいのだと感じた
などがあります。
インタビュアー
・なうモールについて、消費者側の利用メリット、出店事業者側の利用メリットにはどんなポイントがあるのでしょうか?
馬渕 磨理子
企業側にとっては、いつもの宣伝活動を“そのまま”行えばよく、プラットフォームに合わせてカスタマイズする必要がないのがメリットと言えます。これは担当者の負荷を減らせるという点で素晴らしいです。広告には“高い”というイメージがありますがこれなら安心できるので、導入障壁が低そうです。ユーザーとしては、先ほどもお伝えしたように旬のお得情報をいつでもチェックできるというところがメリットだと思います。
インタビュアー
・インターネット広告の閲覧者を増やす、購買意欲の高い顧客を1クリック=10円で呼べる、このビジネスモデルが海外で成功する可能性について、コメントをお願いいたします。
馬渕 磨理子
越境ECはコロナ禍でも伸びています。海外には日本好きの人が多く、コロナ収束後に訪れたい旅先に日本が選ばれるほど。日本らしい商品をECで販売する商機は十分あると思いますね。特に、日本の農林水産物・食品の輸出が伸びているので、狙い目なのではないでしょうか。2021年1~10月の輸出額は9734億円で、年間で初の1兆円突破が確実になりました。なので、例えば野菜や果物など生鮮食品を販売するとかはどうでしょうか。
コロナ禍でアジアや米国の消費者は日本製品を越境ECで購入するケースがよく見られました。そのなかでも特に人気だったのは、ホタテ貝や日本酒などアルコール飲料です。また、「通販で買えるようにしてほしい」日本製品についてアンケートを取ったところ、次のような結果が出ました。
中国:スキンケア商品、薬用化粧品
台湾:酒類、衣類、書籍
香港:衣類、書籍
韓国:書籍、漫画
タイ:エアコン
アメリカ:ゲーム用品
※アウンコンサルティング株式会社調べ
出典:https://www.auncon.co.jp/corporate/2021/0819.pdf
インタビュアー
最後に全国のBtoC事業者となうモールへの応援メッセージをいただければと思います。
馬渕 磨理子
新型コロナウイルス感染症拡大により、この2年間で苦境に立たされた企業は数多くあると思います。しかし、経済再開の兆しが見えつつあるのも事実です。ぜひECサイトを上手く活用しながらオンラインでの売上やリアル店舗の売上につなげて欲しいと思います。なうモールは事業者にとって始めやすいサービスだと思います。「みなさまのサービスやお得な情報」を消費者に届けてくれるのが「なうモール」だとも言えるでしょう。「お得な情報を見ることができて良かった」そんな消費者の笑顔と声が日本中、世界中に溢れるような期待が持てるサービスだと感じたので、これからも活用が広がればと思います。